映画十撰(記事:日付順)

映画/ドラマのレビュー、映画に関するコラムやエッセイを綴っています
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「生きる」(1952/日本/143分)

[データ]
「生きる」
[監督] 黒澤明
[脚本] 黒澤明、橋本忍、小国英雄
[撮影] 中井朝一
[音楽] 早坂文雄
[出演] 志村喬、日守新一、田中春男、千秋実、小田切みき、左卜全、山田巳之助、藤原釜足、小堀誠、金子信雄、中村伸郎、渡辺篤、木村功、清水将夫、伊藤雄之助
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 ある市役所の市民課。そこに黒江町に住む女房たちが陳情にやって来る。下水が溢れて不衛生な上に蚊が大量発生して困っていると言う。そんな市民の声を聞くために新設された市民課だったが、課長の渡辺は他の課へ回してしまう。そして住民たちは、その後もあらゆる役所をたらいまわしにされる。
 ある日、その課長・渡辺勘治が珍しく欠勤する。30年間無欠勤直前という時だった。その日、渡辺は体調を崩して通院していた。診察前、隣にいた慢性胃炎の男から胃がんの話しを耳にする。医師は胃がんの患者には、手術の必要のない軽い胃かいようだと説明すると言うのだ。しかも、聞いていると自分の症状と似ている。そしていよいよ診察という時、医師から軽い胃かいようだと説明を受け、渡辺はみずからの余命を悟る。あと半年の命だった。
 妻を亡くしていた渡辺は一人息子・光男夫婦と暮らしていた。が、すっかりよそよそしくなっていて言い出せず、かといって役所にいく気にもなれず巷を徘徊する。死を迎えるのに、自分は人生で何もしてこなかったことに気付いたのだ。そんな時、ある飲み屋で一人の作家と出会う。ふと事情を打ち明けると、作家は人生を取り戻そうと夜の繁華街へと渡辺を案内する。が、渡辺の心は少しも癒されなかった。
 その翌日、課の事務員・小田桐とよが訪ねて来る。役所を辞めたので書類に課長の判子が必要だという。渡辺はそんなとよが、いつも明るく、生命感に溢れていたことに気付く。そして、自分にもまだできることがあると考える。渡辺の頭に浮かんだのは、黒江町の女房たちの陳情だった。空き地をを埋め立てて公園をつくる。そう決意した渡辺だったが ・・・。

「生きものの記録」(1955年/日本/113分)

[データ]
「生きものの記録」
[監督] 黒澤明
[脚本] 橋本忍、小国英雄、黒澤明
[撮影] 中井朝一
[音楽] 早坂文雄
[出演] 三船敏郎、志村喬、千秋実、清水将夫、三好栄子、青山京子、東郷晴子、千石規子、根岸明美、太刀川洋一、上田吉二郎、東野英治郎、佐田豊、藤原釜足
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 歯科医・原田は医師会からの要請で東京家庭裁判所の調停員を任せられていた。ある時、家裁に呼ばれていくと、ちょうど当事者同士が言い争っているところだった。家裁の荒木から共に調停に携わる弁護士会の堀を紹介され、早速申立の内容を聞くことになる。
 申立は中島を鉄工所を営む中島喜一の妻・とよからのもので、喜一を準禁治産者にしてほしいとのものだった。しかし、とよよりも強く訴えていたのは喜一の子供たち、一郎、二郎、よしとその家族であった。喜一は水爆に対する被害妄想が激しく、放射能を避けるためと称して秋田に土地を購入。地下シェルターを作り始めたのだが、秋田も危険だと悟ると工事を中止。今度は南米が安全だと言い始め、近親者を連れて移民する準備を進めているのだという。家族はこれ以上の無駄な散財を恐れて申立をしたのだった。
 原田たちは話し合いの間計画を進めないよう喜一を諭すが、喜一はブラジルで成功した日本人移民の老人と接触。土地購入の交渉を進める。その間、喜一が面倒を見ている二人の妾と、亡くなった妾の子にも南米行きを告げるが、彼らも内心は反対だ。一方原田は、喜一の言い分を聞いているうちに水爆の恐怖を実感し始めていた。しかし荒木と堀は、家族の申立を認める以外にないと判断。ところが、それでも喜一はあきらめず、禁じられている家の財産を持ち出し、ブラジルの老人に手付けを払いに行ってしまう ・・・。

「悪い奴ほどよく眠る」(1960年/日本/150分)

[データ]
「悪い奴ほどよく眠る」
[監督] 黒澤明
[脚本] 小国英雄、久板栄二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍
[撮影] 逢沢譲
[音楽] 佐藤勝
[出演] 三船敏郎、森雅之、香川京子、三橋達也、志村喬、西村晃、加藤武、藤原釜足、笠智衆、宮口精二、三井弘次、三津田健、中村伸郎
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 日本未利用開発公団副総裁・岩淵の娘・佳子と秘書の西幸一の披露宴が盛大に催される。が、その最中、警察が訪れ、司会を務める契約課課長補佐・和田を逮捕してしまう。先に、大竜建設の経理担当重役・三浦が公金不正流用で逮捕されており、今回の逮捕で、公団と建設の贈収賄疑惑が持ち上がる。
 しかし式場では、何事もなかったかのように祭事が進んでいた。しかしウェディング・ケーキが運ばれてくると、契約課長白井、管理部長守山、副総裁岩淵の顔色が変わる。それが、五年前、やはり公団と大竜建設の不正入札の対象となった新庁舎の形をしていたからだ。三人は、当時、役所で入札を取り仕切る立場にいたのだ。そして事件後、三人ともが、そのまま公団に横滑りしていた。さらにその時、古谷という課長補佐が三人の圧力で、新庁舎の七階から飛び降り自殺をしていた。こうして事件をうやむやにした経緯があった。
 さらに三人は驚く。ケーキのある一転に、真っ赤な花が一輪刺さっていたからだ。そこは古谷が飛び降りた場所で、まるで何者かが事実を知っていて、事件を暗示したかのようだった。
 式の後、警察は証拠をつかみきれず、逮捕した三浦と和田を釈放する。が、三浦もまた、上からの圧力で自殺してしまう。さらに和田も火口から身を投げようとしていた。ところがそこに西が現れ、和田を思い留まらせる。そして西は、白井と守山が、和田の死を笑っているテープを突きつけ、ともに復讐に立ち上がるよう説得する。西は、実は五年前に自殺した古谷の私生児だった。そして父の復讐を心に秘め、岩淵の秘書に潜り込んでいたのだ ・・・。

「サイレン」(2006年/日本/87分)

[データ]
「サイレン」
“Forbidden Siren”
[監督] 堤幸彦
[脚本] 高山直也
[撮影] 唐沢悟
[音楽] 配島邦明
[出演] 市川由衣、田中直樹、阿部寛、西田尚美、松尾スズキ、高橋真唯、西山潤、嶋田久作、森本レオ
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 1976年、夜美島(やみじま)。嵐の夜、ただ一人を除いて島民が全員消失する事件が起きる。男が見付かった時は半狂乱状態で、サイレンが鳴ったら外へ出るな、とわめいていた。そしてその時、島中にけたたましいサイレンの音が鳴り響く。
 29年後。天本由貴は、病弱な弟・英夫の転地療養のために夜美島を訪れる。父・真一と飼い犬のオスメントもいっしょだ。島では診療所の医師・南田が出迎えるが、島民たちが一様に刺すような視線を自分たちに向けるのを由貴は感じていた。住居となる古びた一軒家に着くと、由貴は壁に血らしき跡を見つける。さらに隣の里美という女性が手伝いにやって来て、サイレンが鳴ったら外に出るな、という島の謎の迷信を由貴に伝える。
 ほどなく、英夫と共に診療所を訪れた由貴だったが、英夫がいなくなり、探しているうちに廃屋へと行き着く。そこには“DOG LIVE”と壁に殴り書きがあり、床には「1976年の取材メモ」と題された手帳が落ちていた。その中身を見て由貴は驚く。どのページにも「サイレン」という言葉が記され、最後のページには、「3度目のサイレンで島民に変化」、と書かれてあったのだ。
 その後英夫を丘の斜面で見つけるが、見知らぬ赤いマントの女を由貴は目撃する。さらに、途中に寄った集会所では、島民たちが放心状態で儀式のようなものをしている。由貴は島に不気味な何かを感じ始めていた。そして夜、突如として耳をつんざくサイレンの音がこだまする。サイレンが鳴ったら外に出てはいけない。その言葉を思い出した由貴は英夫の部屋に急ぐ。が、英夫の姿はすでになかった ・・・。

「LOFT」(2005年/日本/115分)

[データ]
「LOFT」
“ロフト”
[監督] 黒沢清
[脚本] 黒沢清
[撮影] 芦澤明子
[音楽] ゲイリー芦屋
[出演] 中谷美紀 、豊川悦司、西島秀俊、鈴木砂羽、加藤晴彦、大杉漣、安達祐実
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 芥川賞作家・春名礼子は、出版社の木島幸一の依頼で初めて恋愛小説を執筆することになる。しかし筆は進まず、幻覚と吐き気に悩まされるようになっていた。ある時木島に、引越しをして環境を変えれば書けそうだと相談。すると木島は、茨城にある一軒家を紹介するのだった。
 礼子は早速引越し、閑静な環境に満足する。周りに住民はなく、ただ、裏には、コンクリート造りの廃屋が建っていた。夜、礼子が廃屋へ行ってみると、そこには、何かを建物の中に運んでいる男がいた。翌日、興味を抱いて聞き込むと、廃屋は相模大学の研修所であったという。さらに調べてみると、昨年、大学の考古学グループが女性のミイラを発見したとの記事を発見する。そこにはまた、責任者の吉岡誠なる教授の写真が載せられていた。それは、あの夜廃屋で見かけたのと同じ男だった。
 ほどなく、礼子はふと廃屋に忍び込んでしまう。中には布にくるまれた物体があった。布を取ると、それはまさしくミイラだった。しかしその時吉岡が入ってきて、礼子は家へ走り去る。が、その姿を吉岡が追っていた。
 吉岡は、自分でもなぜミイラを研修所にひそかに運び込んだのか分らなかった。大学の友人・日野からは、博物館展示のため、早く保存処置をしてほしいと急かされていたところだった。ミイラには謎が多く、引き上げた場所は、80年前にもミイラが引き上げられたある沼だった。しかしミイラが80年前と同じものかどうかはわからず、同じものとしても、なぜ再び沼に沈めたのかも不明だったのだ。
 やがて吉岡の許に、大学から研修生が派遣されることになる。ミイラがあることを知られたくない吉岡は、礼子の家を訪ね、数日間ミイラを預かって欲しいと依頼する。礼子は承諾してミイラを二階へと運び入れることに。が、その日から、生きているとは思われない若い女性が現れるようになる ・・・。

「白い恐怖」(1945年/アメリカ/111分)

[データ]
「白い恐怖」
“Spellbound”
[監督] アルフレッド・ヒッチコック
[原作] フランシス・ビーディング
[脚本] ベン・ヘクト
[脚色] アンガス・マクファイル
[撮影] ジョージ・バーンズ
[音楽] ミクロス・ローザ
[出演] イングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック、マイケル・チェホフ、ドナルド・カーティス、ロンダ・フレミング、ジョン・エメリー、レオ・G・キャロル、ノーマン・ロイド、ポール・ハーヴェイ、アースキン・サンフォード
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 女医・コンスタンスは、ある病院で精神科医として勤めていた。独身で恋人をつくることもなく、有能だが人間味に欠けると同僚たちはうわさしていた。ある時、退職する院長の代わりに、著名なエドワーズ博士が赴任してくることになる。そしてやって来たエドワーズは、想像とは異なり、若くてハンサムな人物だった。コンスタンスは、かねてからの尊敬の念もあって、エドワーズに好意を寄せるようになる。一方のエドワーズもまた、美しいコンスタンスに魅かれ、二人は互いの距離を縮めてゆく。
 しかしエドワーズには、時折、拒否反応による発作のような症状があった。ある時、ついに手術中に精神錯乱を起こすと、皆が疑いを向けるようになる。するとエドワーズはコンスタンスに、自分は本当はエドワーズではない、エドワーズは自分が殺した、と驚くべき告白をするのだった。
 さらに、エドワーズは自分は記憶喪失で、「JB」という頭文字しか思い出せないという。JBを救いたいと考えるコンスタンスだったが、その夜JBは、メモを残してひそかに病院を出て行ってしまう。翌朝には、エドワーズの助手が訪れてきて、JBのうそが明るみとなる。本物のエドワーズは、確かに行方不明中だったのだ。
 警察がJBを追う中、彼の無実を信じて助けようと決意したコンスタンスは、メモにあったニューヨークのホテルへ赴く。が、すぐに手配が回り、二人でホテルを逃げ出す。そしてコンスタンスは、みずからの恩師・ブルロフ博士に助けを求めるべく、JBを連れて訪ねて行くのだったが ・・・。

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