映画十撰(記事:日付順)

映画/ドラマのレビュー、映画に関するコラムやエッセイを綴っています
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「旅愁」(1950年/アメリカ/108分)

[データ]
「旅愁」
“September Affair”
[監督] ウィリアム・ディターレ
[原作] フリッツ・ロッター
[脚本] ロバート・ソーレン
[撮影] チャールズ・B・ラング・Jr.
[音楽] ヴィクター・ヤング
[出演] ジョーン・フォンテイン、ジョセフ・コットン、フランソワーズ・ロゼエ、ジェシカ・タンディ、ロバート・アーサー、ジミー・リンドン、フォーチュニオ・ボナノヴァ、グラツィア・ナルシソ
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 ローマからニューヨークへ向かう旅客機の中。工業会社を経営するデビッド・ローレンスとピアニストのマニーナ・スチュアートは偶然隣り合わせ、会話を交わすようになる。途中、飛行機はポンプの故障でナポリに緊急着陸。デビッドは、修理の間にナポリ観光をしようとマニーナを誘って街へ向かう。が、空港に戻った時、飛行機はすでに離陸していた。
 デビッドはどうせならポンペイやカプリも回ろうと提案。二日間、二人は楽しい時を過ごすが、互いに愛するようになってしまう。折しもデビッドは妻キャサリンとの離婚を決意していた時期。しかしキャサリンは離婚を承知していなかった。結ばれるはずのない二人は、深みにはまる前に別れようと話し合う。
 そして翌朝。二人は新聞を見て驚く。二人が乗るはずだった飛行機が墜落し、全員絶望との記事が載っていたからだ。さらに被害者の欄には自分たちの名前も記されていた。二人は新しい人生を決意。名前を変え、フィレンツェの人里離れた丘に家を借りる。
 一方、キャサリンは夫の死に悲嘆に暮れていた。そんな時弁護士が、マリア・サルバティーニなる女性がデビッドがサインした高額の小切手を使ったと知らせに来る。キャサリンはイタリアでできたデビッドの恋人だと想像するが、実はマニーナのピアノの恩師だった。二人が生活資金を工面するためにマリアに頼んだのだ。それからしばらく、キャサリンはふとマリアに会ってみたくなり、フィレンツェまで尋ねて行く ・・・。

「カサブランカ」(1942年/アメリカ/103分)

[データ]
「カサブランカ」
“Casablanca”
[監督] マイケル・カーティズ
[原作] マーレイ・バーネット、ジョアン・アリスン
[脚本] ジュリアス・J・エプスタイン、フィリップ・G・エプスタイン、ハワード・コホ
[撮影] アーサー・エディソン
[音楽] マックス・スタイナー
[出演] ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、コンラッド・ヴァイト、シドニー・グリーンストリート、ピーター・ローレ、S・Z・サコール、マドレーヌ・ルボー、ドーリー・ウィルソン、ジョイ・ペイジ、ジョン・クオレン、レオニード・キンスキー、クルト・ボワ
[評価] ★★★★★
 
[あらすじ]
 第二次大戦、フランス敗戦後。ヨーロッパでは、ナチスドイツの支配を嫌ってアメリカへ亡命する者が後を絶たなかった。しかしアメリカへ渡るためには、ポルトガルのリスボンまで行かなければならない。そんな中、リスボンへの中継地として、フランス領モロッコのカサブランカには、多くの亡命者が集まってきたのだった。
 ある時、ドイツ人が殺され、リスボンへの通行証が盗まれる事件が起こる。その捜査のため、ドイツからシュトラッサー少佐が派遣され、警察署長ルノーが出迎える。その夜、通行証が取引されることをつかんだ署長と少佐は、リックの店「カフェ・アメリカン」へ赴く。同じ頃、問題の通行証を売るため店にやってきたウガーテ。一時、知り合いの店主・リックに通行証を預けたものの、警察に逮捕されてしまう。
 その直後、店に、通行証の買い手の男女が現れます。男は反ナチ運動家のビクター・ラズロ。女は妻のイルザ。が、イルザはピアノを弾くサムを見て顔色を変える。イルザは、サムが、昔からのリックお抱えのピアニストであることを知っていた。そしてリックは、かつて、ナチス占領前のパリにいた頃の恋人だったのだ。当時イルザは、反ナチ運動のためにお尋ね者となったリックと一緒にパリを離れる約束をしていた。しかし待ち合わせの場所にイルザが現れることはなかった。
 リックの店で通行証が手に入らず、ラズロとイルザは、別の通行証を求めて闇屋の元締め・フェラーリの許へ。フェラーリは取引を拒むが、代わりに通行証をリックが持っていることを教える。ラズロはそれを聞いてリックの店を再び訪ねる。が、リックはにべもなく断り、理由はイルザに聞けと言って追い返してしまう。そして、帰宅したラズロからいきさつを聞いたイルザは、リックに会おうと単身リックの部屋へ向う ・・・。

「天国と地獄」(1963年/日本/143分)

[データ]
「天国と地獄」
[監督] 黒澤明
[原作] エド・マクベイン
[脚色] 小国英雄、菊島隆三、久板栄二郎、黒澤明
[撮影] 中井朝一、斎藤孝雄
[音楽] 佐藤勝
[出演] 三船敏郎、香川京子、江木俊夫、佐田豊、島津雅彦、仲代達矢、石山健二郎、木村功、加藤武、三橋達也、伊藤雄之助、中村伸郎、田崎潤、志村喬、藤田進、土屋嘉男、三井弘次、千秋実、北村和夫、山崎努
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 町を見下ろす大邸宅。家の主、ナショナルシューズの役員・権藤は、職人気質で、質を下げて安物を大量生産しようとする他の役員たちと対立していた。対立は深刻で、いまや、会社の実権を握るか、それとも追い出されるか瀬戸際の状態。しかし家財を担保に三千万の金策に成功し、株を買い集め、筆頭株主にのし上がるめどが立ちつつあった。
 が、そんな時、子供を誘拐したとの電話が入る。驚き狼狽する権藤だったが、息子の純はすぐに家に帰ってきた。いたずらかと安心した矢先、お抱え運転手・青木の息子・進一が見つからないことが明らかになる。犯人は間違って子供を誘拐してしまったのだ。
 権藤は早速警察に連絡。戸倉をはじめとする刑事たちがひそかに家に入る。ほどなく犯人から連絡が。犯人も人違いと気付いた様子。ところが、犯人は、かまわず三千万の身代金を要求してきたのだった。しかし権藤には払えない事情がある。株を買うための三千万を払ってしまえば、権藤は会社を追い出された上に破産をしてしまうのだ。
 権藤は良心とのはざ間で悩む。そしてついに、三千万円を犯人に払う決断を下す。やがて犯人から指示を伝える電話が入る。「新幹線のこだま号に乗れ」 指示通りこだまに乗る権藤。戸倉たちも、万全の体制でこだまに同乗して張り込む。しかし、そんな刑事たちを尻目に、犯人は、驚くべき方法で現金を奪お去ってしまう。
 間もなくして、進一は犯人の約束どおり無事な姿で帰ってくる。一方、捜査は難航していた。そんな中、他人の子供の身代金を払った権藤を、マスコミが大きく取り上げ、同情が集まる。しかしナショナルシューズは世論を無視して権藤を解任。ついに破産に追い込まれ、家と家財道具は競売にかけられることになってしまう。そんな権藤を見て、一層怒りと憎しみを燃やす刑事たち。さらに運転手の青木も。責任を感じてみずから必死で手がかりを探そうと奔走していた。
 やがて、それぞれの執念が実り、犯人の足取りが徐々に明らかになる。そして、ついに進一の監禁場所が判明する。が、家に踏み込んだ刑事たちが見たものは、犯人の遺体だった ・・・。

「七人の侍」(1954年/日本/207分)

[データ]
「七人の侍」
[監督] 黒澤明
[脚本] 黒澤明, 橋本忍, 小国英雄
[撮影] 中井朝一
[音楽] 早坂文雄
[出演] 志村喬、三船敏郎、津島恵子、島崎雪子、藤原釜足、加東大介、木村功、千秋実、宮口精二、小杉義男、左卜全、稲葉義男、土屋嘉男、高堂国典
[評価] ★★★★★
 
[あらすじ]
 ある山あいの小さな農村に野武士たちが迫る。が、村の様子を見た野武士たちは、秋の実りの時期を待って襲った方が良いと言って戻って行く。農民たちはそれを漏れ聞いて、怯える。野武士たちは去年の秋も村を襲っていたのだ。すると長老は、腹をすかせた武士を飯で雇えば良いと言い出す。そして村人四人が選ばれ、浪人探しに町へと下りて行く。
 しかし、飯だけで雇える浪人などはいなかった。やがて四人は困窮。諦めかけた時、勘兵衛という一人の老武士を見かける。その時勘兵衛は、子供を盾に納屋に逃げ込んだ盗人にでくわし、鮮やかに切って捨てて去っていくところだった。農民たちは後を追い、必至で頼み込む。最初は断る勘兵衛だったが、事情を聞くうち、ついには情にほだされて引き受ける決意をする。
 まずは侍七人が必要と見て、勘兵衛は探し始める。やはり盗人退治を見て心酔して弟子入りした勝四郎が勘兵衛を手伝う。しかし勝四郎はまだ前髪も取れておらず、勘兵衛に連れて行く気はなかった。やがて、参謀格の五郎兵衛が参加。続いて、かつて同じ主家に使えていた女房役の七郎次。明るく人の良い平八。寡黙な剣客・久蔵。最後は、半人前の無法な乱暴者だが、根は優しげな元農民の男。名前を捨てたとうそぶくため、盗んできた家系図にあった名前、菊千代と呼ばれることになる。
 その頃、村では、侍が来れば娘を取られると噂が広がり、恐れた万蔵が娘・志乃の髪を切って男に化けさせてしまう。これがきっかけで村人たちは侍たちを恐れ、家に閉じこもるようになる。そこに七人の侍が到着。静まり返った村の様子に驚く。が、菊千代の機転で、何とか村人たちは気持ちを変えて協力するようになってゆく。ほどなく農民たちは、勘兵衛指示に従い、柵をつくり、竹槍を手にする。この時、そんな備えを固めつつある村に、野武士四十騎が迫りつつあった ・・・。

「どん底」(1957年/日本/137分)

[データ]
「どん底」
[監督] 黒澤明
[原作] ゴーリキイ『どん底』
[脚本] 小国英雄、黒澤明
[撮影] 山崎市雄
[音楽] 佐藤勝
[出演] 三船敏郎、山田五十鈴、香川京子、中村鴈治郎、千秋実、藤原釜足、根岸明美、清川虹子、三井弘次、東野英治郎、田中春男、三好栄子、左卜全、渡辺篤、上田吉二郎、藤木悠、藤田山
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 江戸時代。そこは回りを土手に囲まれた小さな長屋だった。その中に一軒のあばら家がる。中ではどん底にまで落ちた人間たちが住み暮らす。昔は旗本だったとうそぶく“御前”、飴売りのお滝、鋳掛け屋の留吉と余命いくばくもない女房、夢想に耽る夜鷹のおせん、年中五臓六腑を酒毒に侵されたと嘆く“役者”。他にも、賭博師の喜三郎、桶職人の辰、二人の駕篭かきに下駄職人の卯之吉、そして隣には盗人の捨吉が住み、さらに下っ引きの島造が遊びに出入をする。にぎやかだが皆自分のことで手一杯。いつかここを抜け出そうと考えるものばかりだった。
 ある日、長屋に嘉平という遍路姿の老人が泊まりに来る。老人は様々な話で、長屋の住人たちを潤った気持ちにさせ、将来の希望を感じさせてゆく。その一人、鋳掛け屋の女房は死ねば苦しみがなくなると聞いて安堵し、役者は病を治す気力を取り戻しつつあった。喜三郎や辰たちは嘉平をうそつき呼ばわりするが、強く責める気にはならず、かえってどこか穏やかな気分になるのだった。
 ほどなく、あばら家に大家の女房・お杉がやって来る。お杉のねらいは捨吉で、誘惑しては主人を殺すようそそのかすが、捨吉の方はお杉の妹・おかよに執心。しかし当のおかよは無頼人の捨吉の気持ちを受け入れられないでいた。そこに大家の六兵衛が現れる。女房を罵り、捨吉につかみかかると、逆に捨吉が大家を殺しそうになる。が、そこで嘉平が声を上げて何とか事なきを得る。
 事情を察した嘉平は、捨吉にはお杉に関わるなと忠告し、おかよには捨吉とここを出て行くよう諭す。しかしおかよはなおも決心が付かない。そしてほどなくすると、大家の家から激しい悲鳴が聞こえてくる。おかよの声だった ・・・。

「裏窓」(1954年/アメリカ/112分)

[データ]
「裏窓」
“Rear Window”
[監督] アルフレッド・ヒッチコック
[原作] コーネル・ウーリッチ
[脚本] ジョン・マイケル・ヘイズ
[撮影] ロバート・バークス
[音楽] フランツ・ワックスマン
[出演] ジェームズ・スチュワート、グレース・ケリー、ウェンデル・コーリー、セルマ・リッター、レイモンド・バー、ジュディス・エヴェリン、ロス・バグダサリアン、ジョージン・ダーシー、サラ・バーナー、フランク・キャディ、ジェスリン・ファックス、ランド・ハーパー、アイリーン・ウィンストン、ハービス・ダベンポート
[評価] ★★★★★
 
[あらすじ]
 ニューヨーク、夏。雑誌カメラマンL・B・ジェフリーズは仕事中に足を骨折し、ギプスをつけたまま6週間もアパートにカンヅメ状態だった。やることと言えば裏庭とそこに面するアパートの住人たちをながめるくらい。看護士のステラはのぞきをいさめるが、今では夜更かしするほどの楽しみとなっていた。
 そこから見えるのは、毎日二人分の食卓をつくるも結局はひとりで食事をする中年女性ミス・ロンリーハート。男出入りが激しい美しくグラマーなバレエ・ダンサー。ピアノで美しい曲を奏でるも売れないソングライター。仲が悪いセールスマンの夫と病気でこもりきりの妻。その上に住み、いつもベランダで寝ている夫婦。そして当のジェフはというと、モデルの恋人・リサと最近ギクシャクした関係だった。結婚をほのめかすリサに対し、ジェフは互いの世界が違いすぎることに不安を感じていたのだ。
 そんなある深夜、ジェフは、向かのアパートに住むセールスマンが、アタッシュケースを持って何度も部屋を出入りするのを目撃。そして翌日、いつも窓が開いている男の妻の部屋のブラインドがおり、しかも夫が部屋に寄り付かないことに気付く。不審に思い望遠カメラを取り出してのぞくと、肉切り包丁を包む男の姿が。夫が妻を殺してバラバラにして運んだのでは? ジェフは大胆に推理するのだった。
 それを聞いたリサだったが信じようとはしない。が、夫が大きいトランクをロープでぐるぐる巻きにする姿を見て疑い始める。翌日には、ジェフは、親友で戦友の刑事・ドイルを呼び出す。しかし、ドイルもまた信じない。それでもしぶしぶ調査を引き受けたが、やがて、妻は田舎に引き込むために早朝家を出たことが判明する。目撃者もいるとのことだった。しかしジェフとリサの疑いは消えない。そこでその夜、リサは男の部屋に忍び込み、証拠を探そうとするのだったが ・・・。

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