映画十撰 : 刑事コロンボ27.「逆転の構図」

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刑事コロンボ27.「逆転の構図」

"Negative Reaction"
[監督] アルフ・クジェリン
[原案] リチャード・レビンソン、ウィリアム・リンク
[脚本] ピーター・S・フィッシャー
[出演] ピーター・フォーク、ディック・ヴァン・ダイク、ドン・ゴードン、ラリー・ストーク、アントワネット・バウアー、ジョイス・ヴァン・パッテン、デビッド・シャイナー、マイケル・ストロング

[あらすじ]  著名な写真家ポール・ガレスコは妻フランセスのわがままにうんざりしていた。支配欲が強く、高飛車で始終口うるさい。ポールは15年間の結婚生活に終止符を打とうと妻の殺害を計画する。ある日、ポールは農家を買ったと妻に告げ、一緒に見に行ってほしいと誘う。しかし農家に着くや否や妻を椅子に縛り上げてしまう。後ろの暖炉の上に持ってきた卓上時計を置くと、妻の姿を写真に撮る。今は12時40分だが時計の針はあらかじめ午後2時にセットしていた。そして妻を銃殺する。
 ほどなく、ポールはアルビン・ダシュラーという男に会う。ダシュラーは元囚人。刑務所に撮影に訪れた際に知り合い、今回農家の購入をするために雇っていた。だからこの農家が調べられても自分の名前が出ることはない。ポールはそのダシュラーに明日会いたいから10時に家に電話するよう告げる。
 そして翌日。家政婦のモイラに聞こえるようダシュラーからの電話を受ける。そして巧みに誘拐犯からの脅迫電話を装う。2万ドル、と電話横のメモに書き残すことも忘れない。後で家政婦が見れば、妻が誘拐されて身代金を要求されたと思うだろう。
 夕方、ポールはダシュラーのモーテルへ侵入。新聞紙やのり、ハサミ、妻を撮ったカメラを部屋に置いていく。脅迫状をつくったように見せかけるためだ。これでダシュラーが誘拐犯と思われるだろう。そして待ち合わせ場所の廃車置場へ行くとダシュラーを射殺。持ってきた拳銃を握らせ、自分の太ももを撃つ。警察には正当防衛を主張すればいい。しかし、銃声を聞きつけて近付いてくる者がいた。酔っ払いの浮浪者ドーランだった。
 誰もがダシュラーを誘拐犯だと疑わなかった。ダシュラーの部屋からは脅迫の証拠が次々と上がり、さらにダシュラーが買った農家からフランセスの死体を発見。家中にダシュラーの指紋が見つかる。暖炉には縛られたフランセスを撮った写真まで捨てられていた。
 が、コロンボは不自然な点がいくつもあることに気付く。妻の監禁場所が分らないのに誘拐犯を射殺するだろうか? 相撃ちのはずなのにダシュラーの撃たれたあとには焼け焦げがなく、ポールのズボンには焼け焦げが付いていたのも気になる。ポールは至近距離から撃たれたことになる。浮浪者ドーランも二つの銃声には間があったと証言しており、ポールの証言と食い違う。農家では、暖炉の上には埃が積もっていたのに卓上時計の上には埃はなかった。ごく最近置かれたとしか思えない。それに農家を売った不動産屋にはタクシーで来たというのに、廃車置場にはレンタカーで行っている。それは一体なぜなのか? コロンボは誘拐はポールによる偽装ではないかと疑い始める ・・・。


[コメント]  ピューリッツァー賞を二度も受賞したという有名写真家が犯人。口うるさい妻を殺害。その罪を元囚人になすりつけてこれも殺害してしまいます。が、精密に行ったはずの犯行からは次々とボロが。しかしコロンボの方も決定的な証拠がつかめず、犯人に罠をかけることになるのです。
 最後、コロンボはネガの裏焼きを使った罠を考え付きます。ここで犯人は興奮して思わず証拠品の蓋付きのカメラをつかんでしまい、自分を犯人と認める決定的な証拠となってしまいます。しかし裏焼きかどうかは、現場の農家で右左を確認すればわかることなので、犯人が取り乱す根拠はありません。作品ではドラマティックに盛り上げられ、痛快度たっぷりのシーンとなっていますが、合理性には欠けるラストとなっています。
 本作はストーリー以外で有名なシーンが二つもあり、これが本編の人気の秘密とも言えるでしょうか。いずれも非常にユーモラスなシーンとなっています。
 コロンボが浮浪者ドーランに会いに教会の救済所を訪れます。そこで応対したシスターはコロンボを完全に浮浪者と勘違い。食事の配給(ビーフシチューとパン)を受け、コートまで支給される寸前。シスターがコロンボのコートを見て、「これではいくらなんでも」、とひとこと。 身分を明かせば明かしたで、今度は浮浪者の変装に間違われ、「おじょうず」、とほめられる始末。屈託のないシスターの表情に対して、ばつの悪そうなコロンボの表情はまさに必見です。このシーン、実は事件の進展にはまったく関係がないところがミソ。お遊び感覚で挿入したシーンとも取れます。ちなみにコロンボがコートを着ている年数は7年だそうで、つまりは第一作(1967)の時は新品かそれに近い状態だった(買って一年くらい)ということです。ついでにコロンボの刑事歴は15年であることもこの回で判明しています。
 そしてもうひとつ。コロンボの運転が下手なことは有名ですが、今回、運転免許試験官のウィークリー氏を助手席に乗せ、役所まで送り届けることに。ところがあまりの下手さ加減にウィークリー氏は呆然。たちまち車を止めさせ、歩いて役所に帰ってしまうのです。後の話では、追突事故を起こしてムチ打ちになる醜態も(「秒読みの殺人」)。新シリーズでも犯人の車にぶつけてしまい、大目玉を喰らう話(「犯罪警報」)が登場します。
 今回使われた偽装誘拐は「使者の身代金」や「悪の温室」などで使われたモチーフ。「構想の死角」もこれに近いモチーフと言えるでしょうか。いずれも人気の一本のようで、偽装誘拐モノはこのシリーズのドル箱?と呼べるかもしれません。

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