映画十撰 : 「泥棒成金」(1955年/アメリカ/106分)

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「泥棒成金」(1955年/アメリカ/106分)

[データ]
「泥棒成金」
“To Catch a Thief”
[監督] アルフレッド・ヒッチコック
[原作] デビッド・ドッジ
[脚本] ジョン・マイケル・ヘイズ
[撮影] ロバート・バークス
[音楽] リン・マーレイ
[出演] ケイリー・グラント、グレース・ケリー、ジェシー・ロイス・ランディス、ジョン・ウィリアムズ、シャルル・ヴァネル、ブリジット・オーベール、ジャン・マルティネリ、ジェルジェット・アニス
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 フランス、リビエラ。宝石泥棒が続発。警察は一人の男をマークしていた。男の名はジョン・ロビー。郊外に邸宅を構え優雅な暮らしをしているが、かつては「キャット」と異名をとる怪盗だった。今回の事件は、屋根伝いに侵入・逃走する手口がキャットのものと酷似。ルビック警部はロビーに目をつけたのだ。
 警察はロビー邸へ殺到。しかし隙を見てロビーは逃走する。そして戦争中レジスタンスの仲間だったベルタニの店へ向かう。しかし仲間だった店員たちは、ロビーを犯人だと思っており、険悪な雰囲気だった。ベルタニも疑っていたが、ロビーは引退後15年盗みはしていないと説明。自分でニセモノを捕まえると告げる。が、ここにも警察が到着。ロビーはベルタニの部下フサールの娘・ダニエルの手引きで、警察の追跡を逃れるのだった。
 ほどなく、ロイド保険のヒューソンなる男がロビーに接触してくる。ヒューソンは一連の盗難事件で莫大な被害を被っていた。ロビーは真犯人を捕まえれば損失を取り戻せる、と半信半疑のヒューソンを説得。リビエラに滞在している金持ちのリストをヒューソンから入手する。そしてロビーは、偽キャットは、高価な宝石を持つアメリカ人・スティーブンス母娘を必ず狙うと確信。翌日、オレゴンの材木商・バーンズと名乗り、偶然を装ってスティーブンス夫人とその娘フランセスと知り合うことに成功する。
 ほどなくロビーは、二人とすっかり親密となり、ある日、フランセスとデートをすることに。が、途中、フランセスが無邪気に言い放つ。バーンズは怪盗キャットだ、と。聡明なフランセスは細々とした推理を積み重ね、ロビーの正体を見破っていたのだ ・・・。


[コメント]
 ヒッチコック監督全盛期のサスペンス。ただしさほどの緊張感はなく、気軽に見れるストーリーではあります。スリリングという点では、ヒッチコック映画らしからぬ展開ですが、定番モチーフであるロマンスはしっかりと絡めています。それだけに本作は幅広いファンから支持を受け、一方マニアからは物足りなさを指摘される結果となったようです。
 物語の舞台はフランス南岸の高級リゾート地、リビエラ。この明るい別世界感はまさにヒッチコックのお家芸で、ヒッチコックがシチュエーション選びの天才でもあることを垣間見ることができます。ここで宝石を狙った盗難事件が続発。手口が同じことから、引退したはずの怪盗キャットことジョン・ロビー(ケーリー・グラント)が疑われることに。警察の手が迫る中、ロビーはレジスタンス時代の盟友ベルタニ(シャルル・ヴァネル)のもとに逃れ、真犯人を暴く決意を固めます。そして盗難で大損失を被って困っていた保険会社のヒューソン(ジョン・ウィリアムズ)を仲間に巻き込み、真犯人が狙いそうな富豪・スティーブンス夫人(ジェシー・ロイス・ランディス)に目を付けることになるわけです。
 怪盗キャット、とは魅力的なキャラクターのように思えますが、アクションシーンはほとんどなく、終盤にちょろっと挿入されている程度。アクションものとしてもサスペンスものとしてもやや中途半端な印象を受けたのは筆者だけではないでしょう。しかし中盤、スティーブンス夫人の娘・フランセス(グレース・ケリー)の登場で物語は一気に華やぎます。グレース・ケリーは前年にも「ダイヤルMを廻せ!」と「裏窓」に出演。徐々に露出が増えているのはヒッチコックのちゃっかりしたところで、その美しさを惜しげもなく観客に見せつけているかのようです。ともかくも、ケーリー・グラントとグレース・ケリーはかなりの年齢差のはずですが、絵に描いたような美男美女で不思議と違和感は希薄です。この二人のロマンスがストーリーの面白さを支えている、と言っても過言ではないほどに、大きな比重を占めています。
 そしてこのあたりから登場人物のキャラクターに味が出てきます。ロビンをキャットと確信して嫌悪する勝気なフランセス。キャットと知っても当たり前のようにロビーは無実だと言い放つスティーブンス夫人。ロビーを真犯人と疑いつつ、かわいそうなほどに真犯人探しに翻弄される保険屋ヒューソン。キャラクターを楽しむ一面が本作にはあります。
 真犯人は一体誰なのか? 物語を収支引っ張ってきたこの謎は最後の最後に暴かれ、意外な人物が浮上します。ただ、ひねりはさほどなく、やや淡白な結末ではないでしょうか。その代わりにラストを飾るのはロビーとフランセスのキスシーン。この点、あくまでも二人のロマンスを重視した節がうかがえ、そう見ると、映画はむしろコンパクトで見やすいものになっていると気付きます。ロマンティストらしいヒッチコックならではの仕上げと言えるのかもしれません。

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『泥棒成金』
 『泥棒成金』 1955年(米)監督アルフレッド・ヒッチコック  かつてキャットと呼ばれた宝石泥棒から足を洗った男が、新たな宝石泥棒の犯人と疑われ、汚名を晴らすために真犯人を捕まえようと奮闘するサスペンス。序盤は素晴らしい。一匹の黒猫が屋根をつたってカメラに向かって歩いて来る。次いで、暗闇の中で宝石を盗んでいく手のショット。そして再びあの黒猫が映り、今度はカメラに背を向け、去っていく。こんなシーンが繰り返されることにより、この黒猫は宝石泥棒キャットの象徴であり、猫のように静かに屋根をつたって盗みを働い...
URL 2008-09-03 (Wed) 16:49:14
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