[データ]
“Rosemary's Baby”
[監督] ロマン・ポランスキー
[原作] アイラ・レビン
[脚本] ロマン・ポランスキー
[撮影] ウィリアム・フレイカー
[音楽] クリストファー・コメダ
[出演] ミア・ファロー、ジョン・カサベテス、ルース・ゴードン、シドニー・ブラックマー、モーリス・エバンス、ラルフ・ベラミー、アンジェラ・ドリアン、パツィ・ケリー、エリシャ・クック、エマリン・ヘンリー、チャールズ・グローディン
[評価]
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★★★☆☆
[あらすじ]
ニューヨーク。二人で暮らす部屋を探してた俳優ガイと妻ローズマリーは、ある日、歴史あるアパート、ブラムフォードの空き部屋を訪れる。前の住人は老婦人で亡くなったばかり。ローズマリーが親友ハッチに話すと、ブラムフォードでは、昔から殺人や自殺が後を絶たないと不吉がる。しかし二人は部屋が気に入り、引越しを決意する。
ほどなく、ローズマリーは洗濯室で、住人のテリーという快活な女性と出会う。隣の部屋に住むカステベット老夫婦の居候だという。そして、夫妻からもらったタニスという薬草の入ったネックレスを見せられる。それは美しくも異様な匂いを放っていた。
ところが、幸せそうだったテリーは、間もなく自殺してしまう。これがきっかけでカステベット夫妻との交流が始まる。おせっかいで騒々しいミニーと法皇を偽善者だというその夫ローマンの夫婦に、敬虔なカトリック信者のローズマリーは閉口。しかしガイはたちまち夫妻と親しくなり、頻繁に訪れるようになる。
ある時、ローズマリーは気分が悪くなり失神。悪魔に犯される夢にうなされながら翌朝目覚めてみると、体に、身に覚えのない引っかき傷が付いているのに気付く。失神中に、ガイが性行為に及んだのだ。しかしやがて妊娠したことが分り、ローズマリーは喜ぶ。
するとカステベット夫妻から、名医サパースティンを紹介してもらえることになる。そしてサバースティンの元に通いはじめるが、ローズマリーは徐々にやせていく、鋭い腹痛にも悩まされるようになる。そんな中、久々にハッチと再会。ハッチは、タニスのネックレスとカサベテスの名前から何かに気付いた様子。が、翌日。ローズマリーは、ハッチが倒れて意識不明となったことを知る ・・・。
[コメント]
ロマン・ポランスキーの名前を一躍世界に知らしめた作品。ホラー的なシーンはほとんど見られないながらも、それがかえって見る者の恐怖心を増幅。見事に静かな恐怖を創出しています。
物語の主人公は、どこにでもいそうな幸せそうな平凡な夫婦。夫ガイ(ジョン・カサベテス)は売り出し中の俳優。妻ローズマリー(ミア・ファロー)は明るく貞淑な妻。話は、二人が歴史的なアパート、ブラムフォードに引っ越してきた時から始まります。が、その日常性を妨げる些細な変事の数々。隣家に繋がるドアの前に置かれた物置。ローズマリーを襲う悪夢。ある時、ローズマリーは、親友の老人・ハッチから、かつてアパートで起こった子供を食べる男の話を耳にします。ところが、ハッチの口から何気なく語られるこの内容が、後に最大のキーワードとなるわけです。
物語は、途中まで、ごく普通の人間ドラマを思わせます。隣に住むおせっかいなカステベット老夫妻との交流。ほどなく、ガイは夫妻と異常なまでに親しくなっていきます。やがて妊娠するローズマリー。が、ひどくなる激痛と悪夢。そんな中ハッチが怪死。ローズマリーに一冊の本を残します。そしてローズマリーは、その魔女の本とこれまでの奇怪な出来事とを重ね合わせ、カステベット夫妻が魔術を駆使する異端者であることを確信するのです。
が、物語はまだ真実を明らかにしません。これはローズマリーの妄想ではないのか。すでに出産間近でお腹が大きくなったローズマリーは、夫もグルであると考え逃亡。スリリングな展開へと様変わりした傍らで、見る者の疑心暗鬼そのものが、物語の中に組み込まれていくのです。そして、それは、包丁を手にして隣のカステベット家へと侵入するローズマリーの姿で頂点を極めます。が、そこで、見る者はローズマリーとともに、ようやく驚愕の真実に突き当たるのです。見事なまでの展開と言えるでしょう。とはいえ、このショッキングなラストにはたして救いを感じることができるのか。もしかしたらその答えは、ここまで疑いつつ見てきた者自身に委ねられているのかもしれません。
本作はホラー映画らしい、とは決して言えません。これが恐怖の物語であるのが分るのはラスト10分。このラスト10分を除けば、ローズマリーの精神の崩壊を描いた心理ドラマ、と言われてもまったく違和感はないでしょう。それでも徐々に恐怖が増大し、見る者の心を圧迫してくるのが分ります。この手法はやはり見事。本作は後のホラー映画に少なからず影響を及ぼしたとも言われています。ホラー・ファンなら一度は見ておきたいところですが、後味の悪さにも耐える覚悟は必要でしょう。
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