[データ]
[監督] 清水崇
[脚本] 清水崇
[撮影] 喜久村徳章
[音楽] 佐藤史朗
[出演] 奥菜恵、伊東美咲、上原美佐、市川由衣、津田寛治、柴田かよこ、菊利友佳子、松田珠里、田中要次、森下能幸、榊英雄、松山鷹志、尾関優哉、藤貴子、石倉力、磯村千花子、大國千緒奈、藤真美穂、本田大輔、井上博一
[評価] ★★★★☆
[あらすじ]
ある介護センター。徳永幸枝の訪問担当が介護に行ったまま行方知れずとなり、ボランティアの理佳が代わりに訪ねることになった。そして、不気味なたたずまいを見せるその家で、呆けた状態の幸枝を発見。さらに、物が散乱する部屋を片付けていると、母親の顔を切り取られた家族写真を発見しる。その時二階から物音が聞こえる。上がってみると、音は、なぜかテープでふさいだ押入れの中。意を決してあけてみると、そこには、何と俊雄と名乗る男の子が閉じ込められていた。理佳は通報のため階下に降りる。が、理佳は戦慄する。得体の知れぬ黒い影が、幸枝に覆いかぶさるところを目撃したのだ。
その数日前。この家には、引っ越してきたばかりの勝也と妻・和美、母・幸枝の姿があった。ある時、和美は掃除中に人の気配を感じる。辺りを見ると階段を上る子供の姿を見つけ、後を追い二階へ ・・・。さらにその夜のこと。勝也は、帰宅すると姿の見えない和美を探して二階へ上がる。するとそこには倒れたままの和美の姿があった。その時勝也もまた人の気配を感じる。そこに家を尋ねてくる者があった。妹の仁美だった。が、勝也は理由も言わず追い返してしまう。
わけも分らず追い返された仁美は、その後家に電話をするが、連絡がつかない。そんなある夜、勤務先のビルのトイレの中、携帯電話を受けると、不気味な声が聞こえる。さらに女の黒い影を目撃。慌ててトイレを出て警備員室に駆け込む。が、様子を見に行った警備員は、黒い影にトイレに連れ込まれて殺されてしまう。恐ろしくなった仁美が家に帰って布団をかぶって震えているところ、連絡がつかなかった兄の勝也が訪問してきた。ところが、ドアを開けてみると誰もおらず、部屋に戻った仁美を、俊雄と母・伽耶子の霊が待ち構えていた ・・・。
[コメント]
ジャパニーズ・ストレート・ホラーの代表作。徹底して怖さを追求したつくり。ストーリーと言う点ではわかりにくさや深みがないといった欠点を抱えながら、純粋ホラーに特化した手法が広く支持を受け、大ヒット作となりました。同様に恐怖を極限までクローズアップした「リング」系のつくりは多分に理論的・物語的であり、本作とは対照的と言えるでしょう。
冒頭、ある一軒家での惨劇が語られます。主が妻を惨殺。主は路上で死体となって発見。6歳の子ども・俊雄が行方不明、というもの。その後、家では事件・事故が相次ぎ、本編である徳永家の話に繋がっていくわけです。序盤の主人公は介護ヘルパーの理佳(奥菜恵)。訪れたこの家でテープでふさがれた押入れ。中から物音。くるぞくるぞと分っていてもやっぱり怖い。男の子・俊雄(尾崎優哉)が現れ恐怖の物語が幕を開けるわけです。
が、物語はこの数日前にさかのぼります。この家に幸枝(磯村千花子)とともに引っ越してきた息子夫婦(津田寛治・松田珠里)。しかし夫婦もやはり人の気配を感じて恐怖におののき、ついには後に死体となって発見されます。さらに恐怖は妹・仁美(伊東美咲)に連鎖。家に触れた者は次々と命を落としていくのです。ただし、このあたりは時系列が説明なく行ったり来たりするのでわかりにくさはあります。一方では、全体を六つのモチーフに分割することで統一性を確保。それでも、どこまで見る側に伝わっているかは微妙なところかもしれません。
後半はさらに数年後。いずみという女子高生(上原美佐)が登場。父・遠山(田中要次)は最初の惨殺事件の担当刑事。が、以前、徳永家の事件で再び呼び出しを受け、ついに命を落としてしまったのです。ここでは、いずみと父親との叙情的なモチーフとなりますが、それも一瞬。最後は幽霊に仏壇に引きずりこまれるという、これまた怖いシーンで恐怖の世界に引き戻されます。さらに最後、序盤の主人公・理佳が再び例の家を訪れます。そこで最後の謎解きが行われますが、もはや物語に救いはありません。ここまで徹底した恐怖への追及には頭を下げるしかないようです。
終盤、やや単調さが目立ち始めますが、怖さという点ではやはり日本映画随一と呼べるでしょう。ホラーと言えば怪談物が主流だった半世紀前から比べると、その進化は歴然。世界的に評価が高いのもうなづけます。他方、美女とホラー、という伝統も継承。意外とオーソドックスなツボも押えているのが心憎いところ。いずれにせよ、「リング」とともに現代ジャパニーズ・ホラーの代表である本作。筆者も全編戦慄。ちなみに本作の前にはビデオ版も制作されており、こちらも好評。ホラー・ファンが怖がるホラー、と呼べる恐怖映画の決定版と言えるのではないでしょうか。
[関連ページ]
「THE JUON」 (ハリウッド版「呪怨」。監督は清水崇)