映画十撰 : 2008年04月07日

映画/ドラマのレビュー、映画に関するコラムやエッセイを綴っています
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「病院坂の首縊りの家」(1979年/日本/139分)

[データ]
「病院坂の首縊りの家」
“びょういんざかのくびくくりのいえ”
[監督] 市川崑
[原作] 横溝正史
[脚本] 日高真也、久里子亭
[撮影] 長谷川清
[音楽] 田辺信一
[出演] 石坂浩二、佐久間良子、草刈正雄、桜田淳子、入江たか子、加藤武、草笛光子、白石加代子、三条美紀、萩尾みどり、ピーター、中井貴恵、大滝秀治、岡本信人、小沢栄太郎、清水紘治、小林昭二、常田富士男、久富惟晴、あおい輝彦
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 昭和26年、吉野。金田一耕助は渡米すべくパスポート写真を撮りに本條写真館を訪れる。すると、写真館の主・徳兵衛から、自分を狙っている者がいるから調べて欲しいと頼まれる。その夜、写真館に出張撮影を頼みに女性が尋ねてくる。徳兵衛の息子・直吉が指示通り廃墟同然の法眼病院へ。そこで花婿と花嫁だけの不思議な結婚記念写真を撮らされる。二人の前にはなぜか風鈴が吊り下げられていた。が、翌夜、再度撮影依頼が入り、金田一と弟子の黙太郎と共に赴くと、そこには花婿の生首が吊り下げられていた。
 ほどなくして現場から逃げる吉沢という男が捕らえられる。さらに現場には呼ばれた建物の持ち主・法眼弥生と一族の田辺光枝・五十嵐滋親子。被害者を知る者はいなかったが、結婚写真の花嫁は弥生の娘・由香利にそっくり。しかし弥生は由香利ではないと証言。間もなくその由香里も現場に訪れる。
 一方、吉沢の口から、被害者が同じジャズバンドの山内敏男であることが分る。敏男は腹違いの妹・小雪と結婚しようとしていたらしい。吉沢は仕事を休んだ敏男を探していだけだという。そして敏男と小雪が住処にしている空きガレージ行ってみると大量の血痕が。しかし小雪は見つからず、行方不明であった。
 担当の等々力警部が小雪を追う一方、金田一は五年前、同じ場所で起きた首吊り自殺を調べ始める。首を吊ったのは山内冬子。冬子は小雪の実母、山内敏男にとっての養母であることを突き止める。そんな中、小雪から警察へ手紙が届く。殺人を自白し、自殺するとの内容だった。筆跡はバンドのメンバーが確認し事件解決かと思われた。が、金田一は偽造ではと疑う。そして金田一の推理通り、手紙には指紋がまったく付いていなかった ・・・。

「女王蜂」(1978年/日本/139分)

[データ]
「女王蜂」
[監督] 市川崑
[原作] 横溝正史
[脚本] 日高真也、桂千穂、市川崑
[撮影] 長谷川清
[音楽] 田辺信一
[出演] 石坂浩二、岸恵子、司葉子、高峰三枝子、中井貴恵、沖雅也、草笛光子、坂口良子、萩尾みどり、加藤武、神山繁、小林昭二、大滝秀治、白石加代子、三木のり平、伴淳三郎、仲代達矢
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 昭和7年、伊豆・月琴の里。源頼朝の末裔と言われる大道寺家の研究のため、大学生の速水銀三と日下部仁志が訪れる。そして三ヶ月の間に仁志と琴絵は愛し合うようになり婚約。仁志は祖母ゆかりの指輪を琴絵に贈る。が、琴絵は、住所すら教えない仁志に不審を抱く。さら突然仁志が婚約解消を言い出したため口論に。やがて唐の間には頭を殴られた仁志の死体が。しかし何者かにより死体は近くの崖下に運ばれ、転落事故として事件は終わる。
 昭和11年。銀三が大道寺家を訪れ琴絵に求婚。婿養子に入り大道寺銀三となる。この時琴絵には仁志との間にできた娘・智子がいた。そして昭和27年。琴絵はすでに病死。銀三は京都で事業に成功し、蔦代という公認の妾と住んでいた。一方智子は伊豆で家庭教師の神尾と暮らす。神尾は琴絵の代からの家庭教師であった。
 ある日、智子は時計室で遊佐の撲殺死体を発見する。遊佐は、智子の三人の求婚者の一人だった。部屋には、昨日知り合ったばかりの謎の男・多門連太郎も潜んでいて、無実を訴えると逃げていく。
 早速、静岡県警から等々力主任が出張り捜査を開始。多門を追う。そこに、京都の加納弁護士の依頼で金田一がやって来る。加納は銀三とも親交があった。ほどなく、加納に調査を依頼した謎の人物と、銀三の元には同じ文面の手紙が届いていたことがわかる。"智子が京都に来れば血が流れる ... 智子に言い寄る者は命が危ない"、という警告文だった。智子は19歳で京都に移ることになっており、今日は智子の誕生日。丁度銀三が智子を迎えに京都から来ていたところだ。
 一方金田一は19年前の事件を知る者が今回の犯人だと推理する。加納は、仁志が指輪を持っていなかったことに疑問を感じていた。死の直前、琴絵に指輪を返してもらっていたからだ。銀三もまた、仁志の死はおかしいともらす。仁志は植物採集で崖に行ったと言われるが、そんな趣味はなかったという。さらに捜査に加わっていた山本駐在も、宮内省から圧力がかかって捜査は中止になったと回想。金田一は仁志の正体に鍵があると考えて探り始める。
 そんな中、京都の蔦代から銀三に連絡が入る。また警告状が届いたというのだ。銀三に智子、神尾、そして等々力と金田一も急ぎ京都へと向かうのだったが ・・・。

「獄門島」(1977年/日本/141分)

[データ]
「獄門島」
“ごくもんとう”
[監督] 市川崑
[原作] 横溝正史
[脚本] 久里子亭(くりすてぃ)
[撮影] 長谷川清
[音楽] 田辺信一
[出演] 石坂浩二、司葉子、大原麗子、草笛光子、太地喜和子、坂口良子、浅野ゆう子、加藤武、大滝秀治、松村達雄、上條恒彦、ピーター、内藤武敏、稲葉義男、三木のり平、東野英治郎、佐分利信
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 昭和21年。金田一耕助は友人の天宮から依頼を受け、瀬戸内海に浮かぶ小島・獄門島へと向かう。天宮は復員船の中で、戦友・鬼頭千万太(ちまた)の死を看取る。そして「自分が死ねば三人の妹が殺される。獄門島に行って助けてくれ」と遺言を受ける。しかし天宮は病気で行けず金田一に頼んだのだった。
 金田一は途中、島の了然(りょうねん)和尚や村長に出会い、千万太が継ぐ筈だった島の網元・本鬼頭へ導かれる。折しも傷痍軍人が来て、本鬼頭の分家・一(ひとし)の復員を伝えて帰ったばかり。本鬼頭を切り盛りしている一の妹・早苗の表情も曇る。一と早苗は早くに両親を亡くし本鬼頭に引き取られて育った。が、千万太の三人の妹、月代・雪枝・花子のはしゃぐ様子に金田一は驚く。どうやら知恵遅れのようだ。さらに座敷牢には数年前に発狂した当主・与三松が閉じ込められていた。もうひとり、家政婦の勝野は、そんな異常な家を献身的に支えていた。
 そこに分鬼頭の巴が訪ねて来る。分鬼頭は本家から独立して網元となった家だ。野心的な巴はかねてから本鬼頭の乗っ取りを画策していた。島に居ついた復員兵・鵜飼をあやつり、本鬼頭の娘を口説かせていたのだ。千万太が死んだ今、妹の婿となる者が本鬼頭の跡継ぎだった。
 その夜、千万太の通夜で花子がいなくなり騒ぎになる。そして千光寺の境内で、逆さ吊りで殺されている姿が発見される。花子は鵜飼からの恋文を持っていた。しかしそれは月代に宛てたものだった。花子がひそかに盗んだのだ。鵜飼は月代が来るはずが花子が来たため、隠れ帰ったと言う。一方、庫裏の鍵が壊され、軍人靴の跡が発見される。
 すると島の駐在・清水巡査はよそ者の金田一を疑い、強引に留置してしまう。しかし翌日、今度は雪枝がいなくなる。そして天狗の鼻と呼ばれる岬で、釣鐘の中で死んでいるのが発見される。県警から出張って来た等々力警部は、島に逃げ込んだ海賊の犯行とにらみ山狩りを開始。一方の金田一は、分鬼頭の当主・儀兵衛に会っていた。そこで、亡くなっている三人姉妹の母・お小夜に関する驚くべき話を耳にする ・・・。

「悪魔の手毬唄」(1977年/日本/144分)

[データ]
「悪魔の手毬唄」
“あくまのてまりうた”
[監督] 市川崑
[原作] 横溝正史
[脚本] 久里子亭
[撮影] 長谷川清
[音楽] 村井邦彦
[出演] 石坂浩二、岸恵子、仁科明子、草笛光子、北公次、高橋洋子、山岡久乃、林美智子、渡辺美佐子、加藤武、大滝秀治、中村伸郎、岡本信人、永島暎子、永野裕紀子、白石加代子、三木のり平、辰巳柳太郎、若山富三郎
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 昭和27年、岡山県鬼首(おにこべ)村。金田一耕助は県警の磯川警部との待ち合わせで亀の湯に逗留する。ある時、宿の共同浴場で多々良放庵という老人と出会い、右手が不自由なので手紙を代筆してほしいと頼まれる。昔逃げた女房・おはんの復縁を請う手紙の返事で、それを承諾する内容だった。
 同じ頃、亀の湯の女将・りかの許に、仁礼(にれ)家の当主・嘉平が訪れる。仁礼家は村の二大勢力の一つ。娘・文子とりかの息子・歌名雄との縁談の話だった。当の歌名雄はもう一方の勢力・由良家の娘・泰子と付き合っていたが、りかは結婚はまだ早い、と、どちらとの結婚にも反対していた。
 その夜磯川警部が着き、金田一に20年前の事件の捜査を依頼する。昭和6年、村に恩田という男が現れ、モール作りの機械を売り歩く。が、半年後、機械を売り切ると仕事は来なくなり、皆大損害を被る。恩田は詐欺師だったのだ。その一ヶ月前、りかは、夫・青池源治郎とともに亀の湯を継ぐ為に帰郷していた。源治郎は怒って恩田の許へ。しかし逆に殺されてしまう。後頭部を殴られ、顔は焼かれて見分けがつかないほどだった。その後恩田は逃亡。事件は迷宮入りとなるが、磯川は単身調べ続けてきたのだ。
 早速金田一は、恩田の定宿へ聞き込みに出向く。その途中、峠でおはんと名乗る老婆とすれ違う。放庵の元女房だ。が、宿の女将・いとはその話を聞いて真っ青になる。おはんは昨年亡くなったというのだ。驚いた金田一は放庵の家へ。が、もぬけの殻。床には吐血のあとが残されており、トリカブトの毒が検出される。
 同じ頃、東京で歌手として成功した別所千恵が帰郷していた。千恵は母・春江が恩田と関係してできた娘だ。旧友たちが集い再会を喜ぶ中、来るはずの由良泰子はとうとう来ず、翌日、滝で死体となって発見される。死体のそばには、仁礼家の紋の入ったじょうごと枡が置かれていた。
 県警から出動した立花警部はまず仁礼家を疑う。しかし皆アリバイがあった。そんな中、金田一は、由良家の老隠居から驚くべき手毬唄を聞く。「三羽の雀が云うことにゃ .. 枡屋の娘 .. 上ばみ娘 .. 枡で量ってじょうごで飲んで .. 日がな一日酒びたり .. それでも足らずに殺された」 枡屋は由良家の屋号。泰子は手毬唄になぞらえて殺されたのだ ・・・。

「犬神家の一族」(1976年/日本/146分)

[データ]
「犬神家の一族」
[監督] 市川崑
[原作] 横溝正史
[脚本] 長田紀生、日高真也、市川崑
[撮影] 長谷川清
[音楽] 大野雄二
[出演] 石坂浩二、島田陽子、あおい輝彦、高峰三枝子、草笛光子、三条美紀、川口晶、坂口良子、地井武男、川口恒、小林昭二、三谷昇、寺田稔、加藤武、大滝秀治、金田龍之介、三木のり平、岸田今日子、小沢栄太郎、三國連太郎
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 昭和二十二年二月、信州・那須市。孤児から野々宮神官に拾われ、後に莫大な財を築いた犬神佐兵衛が病没する。その七ヵ月後、探偵・金田一耕助がこの地を訪問。犬神家に事件が起こることを心配した犬神家の顧問弁護士・若林が、調査を依頼したためだ。が、同じ日、金田一に会う直前、その若林弁護士が毒殺されてしまう。
 いまだ公開されない佐兵衛の遺言に関係があると悟った、犬神家のもうひとりの顧問弁護士・古館は、引き続き金田一に調査を依頼する。血縁者九人がそろわねば発表できないという佐兵衛の遺言。その中身が不可解な内容であることを知っていたのは、古館と若林だけだった。
 そんな中、血縁者の最後の一人で、松子の一人息子である佐清(すけきよ)がようやく復員してくる。しかし、その顔は白いマスクで覆われていた。元の顔が分らないほどの傷を戦地で負ったのだ。そして、一族は、佐清が本物かどうか疑いつつも、遺言の発表を迎えることになる。
 しかしその内容に一同は驚く。佐兵衛の遺言は、実の娘、松子・竹子・梅子とその孫たちをさしおいて、佐兵衛が面倒を見ていた、亡き野々宮氏の孫娘・珠世に全財産を譲るというものだったからだ。さらに、それには条件が付けられていた。珠世が、三人の孫のいずれか一人と結婚せよというのだ。娘たちは珠世ををなじりながらも、自分の息子を珠世と結婚させようと画策を始める。
 同じ頃、寂れた旅館・柏屋に、顔を隠した復員兵が宿泊する。ある夜、復員兵は、不審がる宿の主を尻目に外出。そして同じ夜、竹子の息子・佐武(すけたけ)が殺さる。首を切断され、菊人形の首とすげ替えられるという異様な犯行だった。その嫌疑は、別人と疑われていた佐清に向けられる。そして佐清本人であると証明するため、奉納手形との照合が行われることに。が、手形は合致し、佐清本人であることが証明される。一方、金田一は、最初の若林事件に解明の糸口があると悟り、調べはじめる ・・・。

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