映画十撰 : 2008年03月

映画/ドラマのレビュー、映画に関するコラムやエッセイを綴っています
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「悪い奴ほどよく眠る」(1960年/日本/150分)

[データ]
「悪い奴ほどよく眠る」
[監督] 黒澤明
[脚本] 小国英雄、久板栄二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍
[撮影] 逢沢譲
[音楽] 佐藤勝
[出演] 三船敏郎、森雅之、香川京子、三橋達也、志村喬、西村晃、加藤武、藤原釜足、笠智衆、宮口精二、三井弘次、三津田健、中村伸郎
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 日本未利用開発公団副総裁・岩淵の娘・佳子と秘書の西幸一の披露宴が盛大に催される。が、その最中、警察が訪れ、司会を務める契約課課長補佐・和田を逮捕してしまう。先に、大竜建設の経理担当重役・三浦が公金不正流用で逮捕されており、今回の逮捕で、公団と建設の贈収賄疑惑が持ち上がる。
 しかし式場では、何事もなかったかのように祭事が進んでいた。しかしウェディング・ケーキが運ばれてくると、契約課長白井、管理部長守山、副総裁岩淵の顔色が変わる。それが、五年前、やはり公団と大竜建設の不正入札の対象となった新庁舎の形をしていたからだ。三人は、当時、役所で入札を取り仕切る立場にいたのだ。そして事件後、三人ともが、そのまま公団に横滑りしていた。さらにその時、古谷という課長補佐が三人の圧力で、新庁舎の七階から飛び降り自殺をしていた。こうして事件をうやむやにした経緯があった。
 さらに三人は驚く。ケーキのある一転に、真っ赤な花が一輪刺さっていたからだ。そこは古谷が飛び降りた場所で、まるで何者かが事実を知っていて、事件を暗示したかのようだった。
 式の後、警察は証拠をつかみきれず、逮捕した三浦と和田を釈放する。が、三浦もまた、上からの圧力で自殺してしまう。さらに和田も火口から身を投げようとしていた。ところがそこに西が現れ、和田を思い留まらせる。そして西は、白井と守山が、和田の死を笑っているテープを突きつけ、ともに復讐に立ち上がるよう説得する。西は、実は五年前に自殺した古谷の私生児だった。そして父の復讐を心に秘め、岩淵の秘書に潜り込んでいたのだ ・・・。

「サイレン」(2006年/日本/87分)

[データ]
「サイレン」
“Forbidden Siren”
[監督] 堤幸彦
[脚本] 高山直也
[撮影] 唐沢悟
[音楽] 配島邦明
[出演] 市川由衣、田中直樹、阿部寛、西田尚美、松尾スズキ、高橋真唯、西山潤、嶋田久作、森本レオ
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 1976年、夜美島(やみじま)。嵐の夜、ただ一人を除いて島民が全員消失する事件が起きる。男が見付かった時は半狂乱状態で、サイレンが鳴ったら外へ出るな、とわめいていた。そしてその時、島中にけたたましいサイレンの音が鳴り響く。
 29年後。天本由貴は、病弱な弟・英夫の転地療養のために夜美島を訪れる。父・真一と飼い犬のオスメントもいっしょだ。島では診療所の医師・南田が出迎えるが、島民たちが一様に刺すような視線を自分たちに向けるのを由貴は感じていた。住居となる古びた一軒家に着くと、由貴は壁に血らしき跡を見つける。さらに隣の里美という女性が手伝いにやって来て、サイレンが鳴ったら外に出るな、という島の謎の迷信を由貴に伝える。
 ほどなく、英夫と共に診療所を訪れた由貴だったが、英夫がいなくなり、探しているうちに廃屋へと行き着く。そこには“DOG LIVE”と壁に殴り書きがあり、床には「1976年の取材メモ」と題された手帳が落ちていた。その中身を見て由貴は驚く。どのページにも「サイレン」という言葉が記され、最後のページには、「3度目のサイレンで島民に変化」、と書かれてあったのだ。
 その後英夫を丘の斜面で見つけるが、見知らぬ赤いマントの女を由貴は目撃する。さらに、途中に寄った集会所では、島民たちが放心状態で儀式のようなものをしている。由貴は島に不気味な何かを感じ始めていた。そして夜、突如として耳をつんざくサイレンの音がこだまする。サイレンが鳴ったら外に出てはいけない。その言葉を思い出した由貴は英夫の部屋に急ぐ。が、英夫の姿はすでになかった ・・・。

「LOFT」(2005年/日本/115分)

[データ]
「LOFT」
“ロフト”
[監督] 黒沢清
[脚本] 黒沢清
[撮影] 芦澤明子
[音楽] ゲイリー芦屋
[出演] 中谷美紀 、豊川悦司、西島秀俊、鈴木砂羽、加藤晴彦、大杉漣、安達祐実
[評価] ★★★☆☆
 
[あらすじ]
 芥川賞作家・春名礼子は、出版社の木島幸一の依頼で初めて恋愛小説を執筆することになる。しかし筆は進まず、幻覚と吐き気に悩まされるようになっていた。ある時木島に、引越しをして環境を変えれば書けそうだと相談。すると木島は、茨城にある一軒家を紹介するのだった。
 礼子は早速引越し、閑静な環境に満足する。周りに住民はなく、ただ、裏には、コンクリート造りの廃屋が建っていた。夜、礼子が廃屋へ行ってみると、そこには、何かを建物の中に運んでいる男がいた。翌日、興味を抱いて聞き込むと、廃屋は相模大学の研修所であったという。さらに調べてみると、昨年、大学の考古学グループが女性のミイラを発見したとの記事を発見する。そこにはまた、責任者の吉岡誠なる教授の写真が載せられていた。それは、あの夜廃屋で見かけたのと同じ男だった。
 ほどなく、礼子はふと廃屋に忍び込んでしまう。中には布にくるまれた物体があった。布を取ると、それはまさしくミイラだった。しかしその時吉岡が入ってきて、礼子は家へ走り去る。が、その姿を吉岡が追っていた。
 吉岡は、自分でもなぜミイラを研修所にひそかに運び込んだのか分らなかった。大学の友人・日野からは、博物館展示のため、早く保存処置をしてほしいと急かされていたところだった。ミイラには謎が多く、引き上げた場所は、80年前にもミイラが引き上げられたある沼だった。しかしミイラが80年前と同じものかどうかはわからず、同じものとしても、なぜ再び沼に沈めたのかも不明だったのだ。
 やがて吉岡の許に、大学から研修生が派遣されることになる。ミイラがあることを知られたくない吉岡は、礼子の家を訪ね、数日間ミイラを預かって欲しいと依頼する。礼子は承諾してミイラを二階へと運び入れることに。が、その日から、生きているとは思われない若い女性が現れるようになる ・・・。

「白い恐怖」(1945年/アメリカ/111分)

[データ]
「白い恐怖」
“Spellbound”
[監督] アルフレッド・ヒッチコック
[原作] フランシス・ビーディング
[脚本] ベン・ヘクト
[脚色] アンガス・マクファイル
[撮影] ジョージ・バーンズ
[音楽] ミクロス・ローザ
[出演] イングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック、マイケル・チェホフ、ドナルド・カーティス、ロンダ・フレミング、ジョン・エメリー、レオ・G・キャロル、ノーマン・ロイド、ポール・ハーヴェイ、アースキン・サンフォード
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 女医・コンスタンスは、ある病院で精神科医として勤めていた。独身で恋人をつくることもなく、有能だが人間味に欠けると同僚たちはうわさしていた。ある時、退職する院長の代わりに、著名なエドワーズ博士が赴任してくることになる。そしてやって来たエドワーズは、想像とは異なり、若くてハンサムな人物だった。コンスタンスは、かねてからの尊敬の念もあって、エドワーズに好意を寄せるようになる。一方のエドワーズもまた、美しいコンスタンスに魅かれ、二人は互いの距離を縮めてゆく。
 しかしエドワーズには、時折、拒否反応による発作のような症状があった。ある時、ついに手術中に精神錯乱を起こすと、皆が疑いを向けるようになる。するとエドワーズはコンスタンスに、自分は本当はエドワーズではない、エドワーズは自分が殺した、と驚くべき告白をするのだった。
 さらに、エドワーズは自分は記憶喪失で、「JB」という頭文字しか思い出せないという。JBを救いたいと考えるコンスタンスだったが、その夜JBは、メモを残してひそかに病院を出て行ってしまう。翌朝には、エドワーズの助手が訪れてきて、JBのうそが明るみとなる。本物のエドワーズは、確かに行方不明中だったのだ。
 警察がJBを追う中、彼の無実を信じて助けようと決意したコンスタンスは、メモにあったニューヨークのホテルへ赴く。が、すぐに手配が回り、二人でホテルを逃げ出す。そしてコンスタンスは、みずからの恩師・ブルロフ博士に助けを求めるべく、JBを連れて訪ねて行くのだったが ・・・。

「疑惑の影」(1943年/アメリカ/108分)

[データ]
「疑惑の影」
“Shadow Of A Doubt”
[監督] アルフレッド・ヒッチコック
[原作] ゴードン・マクドネル
[脚本] ソーントン・ワイルダー、サリー・ベンソン、アルマ・レヴィル
[撮影] ジョセフ・バレンタイン
[音楽] ディミトリ・ティオムキン
[出演] テレサ・ライト、ジョセフ・コットン、マクドナルド・ケリー、ヘンリー・トラバース、パトリシア・コリンジ、ヒューム・クローニン、ウォレス・フォード、エドナ・メイ・ウォナコット、チャールズ・ベイツ
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 カリフォルニアの田舎町サンタ・ローザ。ニュートン家の長女チャーリーは、しがない銀行員の父ジョーにもつつましやかな母エマにも不満を持ち、自分のいる平凡な家庭に退屈しているところだった。そこでふと、昔から好きだった叔父チャールズ・オークリーのことを思い出し、来てもらおうと思い立つ。興行師だという叔父は母の末の弟だった。が、ちょうどその時、当の叔父から家に来るとの電報が来て喜びを隠さない。
 エマは久しぶりの再会に感激し、ジョーも笑顔で迎える。一方のチャーリーは、同じ愛称の叔父とは他人の気がせず、親しみのこもったまなざしを向けていた。チャールズも姉エマに豪華なプレゼントを用意し喜ばせる。チャーリーにも指輪を贈る。しかしそこには、なぜか「B.M. から T.S. へ」という見知らぬイニシャルが彫られていた。チャールズは削らせると言ったがチャーリーは気にしないとそのまま貰い受ける。
 そんな時、家に二人の男が訪ねてくる。グレアムとサンダースは、国の仕事で、平均的な家庭のサンプルを取る調査を行っているという。エマは快く調査に応じるが、二人は執拗にチャールズに会いたがる。そしてチャールズの方もなぜか二人に会おうとはしなかった。その後、グレアムから町の案内を頼まれたチャーリーは楽しい時を過ごす。が、そこで、自分たちが、ニューヨークから叔父を追って来た刑事であることを打ち明けられる。叔父はある事件の、二人の容疑者のうちの一人だと言うのだ。
 協力を求められ戸惑うチャーリーだったが、いつか、叔父が夕刊を隠したことを思い出す。そしてグレアムと別れたチャーリーは図書館へ行き、その時の夕刊に目を通して愕然とする。そこには、三人の裕福な未亡人が絞殺され、犯人は逃亡中であると記されていた。しかも被害者の一人のイニシャルは、叔父からもらった指輪に彫られたイニシャルと同じものだったのだ ・・・。

「バルカン超特急」(1938年/イギリス/98分)

[データ]
「バルカン超特急」
“The Lady Vanishes”
[監督] アルフレッド・ヒッチコック
[原作] エセル・リナ・ホワイト
[脚本] シドニー・ギリアット、フランク・ローンダー
[撮影] ジャック・コックス
[音楽] ルイス・レヴィ
[出演] マーガレット・ロックウッド、マイケル・レッドグレーブ、ポール・ルーカス、(デイム)メイ・ウィッティ、セシル・パーカー、リンデン・トラバース、メアリー・クレア
[評価] ★★★★☆
 
[あらすじ]
 バルカン半島の小国バンドリカ。雪崩で汽車が足止め。復旧は翌朝まで待たねばならず、多くの外国人客がホテルに殺到する。その夜、クリケット・ファンのイギリス人、カルディコットとチャータースがレストランに行くとすでに食事はなく、向かいの老婦人フロイにチーズをおすそ分けしてもらい何とか飢えをしのぐ。家庭教師のフロイはここに6年いて明日帰国するという。そのフロイが部屋に帰ると外から美しい歌声が。バンドリカは音楽の国でもあった。
 しかし階上の屋根裏部屋からも騒音が聞こえてきて台無しに。階上では音楽研究家のギルバートが民族舞踊を踊らせていた。これに怒ったのは隣に泊まる富豪の娘アイリス。金の力に物言わせ、階上のギルバートを追い出してしまう。が、その頃、外で歌っていた歌手が何者かに殺される事件が起きていた。
 翌朝、アイリスが汽車に乗り込む直前、頭に植木鉢が落ちてきて失神。フロイの介抱を受け、気がつくと部屋に座っていた。同室は他にイタリア人の男とアテナ男爵夫人。間もなくアイリスとフロイは食堂車へ。途中、フロイがある部屋によろけるが、そこにいた男女の態度はそっけない。実は不倫旅行中の弁護士エリックと人妻マーガレットだった。そして食堂車ではフロイ持参のハリマンハーブ茶をボーイに渡し、出してもらう。隣のテーブルにはカルディコットとチャータースがクリケットの話に夢中になっていた。
 その後部屋に帰りうとうとするアイリス。そして目が覚めるとフロイの姿はなかった。おかしなことに、同室のイタリア人も男爵夫人も、さらには食堂車のボーイまでもが、アイリス一人だったと証言。途中、ギルバートと出くわすとフロイ探しを手伝ってくれることになるが、やはり乗り合わせていた世界的な脳外科医ハーツは、頭を打ったための幻覚だと診たてる。
 さらにフロイがよろけて入った部屋の男女もフロイを見ていないと断言。食堂車にいたイギリス人は覚えていないと証言する。が、そんな中、今度はフロイが戻ったとの知らせが入ってくる。喜び勇んで部屋に戻るアイリス。が、そこにいた老婦人はフロイではなかった ・・・。

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